マンションリノベーションの費用相場は500万円〜1400万円といわれるなか、500万円で何ができたのかをお話するとともに、リノベーションにおいてコストをおさえるポイントをこの記事で紹介したいと思います。
我が家のリノベーション費用は500万円です。
はたして500万円でフルリノベーション出来たのか?
いきなりの結論ですが、答えはNOです。
しかし家造りにおいても生活においても予算というのはとても大切な要素であり、これを蔑ろに理想だけを追い求めても当然のことながら経済の破錠が待ち受けています。
自分の予算と理想とのバランスを保ちながら、身の丈にあった住まいを計画していくことも大切な決断であると私は思います。
全部が一度に出来上がらなくても、別の機会にやり残したことを再調整していきながら生活していく楽しさもあるのではないでしょうか。
500万円で出来たリノベーション
では500万円でフルリノベーションは不可能なのか?
広さによって見積りも変わってくるところですが、方法はあるでしょう。
その大前提としてほとんどの作業を自分でする知識と技術、施工箇所によっては資格が必要です。
リノベーション工事の見積り内訳は大まかに以下のようになります。
- 解体
- 木工事
- 水まわりの工事
- 電気工事
- 設備工事
- 美装工事
他に養生、搬入、撤去などの雑務もありますが、以上が内訳となります。
1.解体
スケルトンリフォームではまず部屋の内部を解体します。
専門業者による作業となり、この作業だけで数日を要します。
自分で出来るのかどうかの疑問については、不可能ではないかと思います。
っといっても私はやりませんでしたが。
そもそも解体業者は一日中この解体をするのが仕事で、この作業だけで数日かかるわけですから、昼間会社に出勤する私(グラフィックデザイナー)がこの作業をするといったい何日かかるか…。おまけに近所への配慮のため夕方くらいまでしか作業できません。
解体するための道具を揃えて、完全防備で粉塵対策をし、解体時にでた不燃材料と可燃材料を分別して専門の回収業者に依頼する。しかもマンションなら工期を定めてマンション管理へ連絡しなければならないのです。つまりしっかりと納期があります。
一日中時間を持て余していて、しかも解体経験者の方なら可能なのかもしれないですが、プロの方が決めるような納期ではとてもとても現実的な作業に思えませんでした。
2.木工事
これは大工さんの作業を意味します。
木材で床や壁や天井の基礎を組んで、各所の材料を適材適所設置していく。
配管や配線なども考慮した部屋全体の基礎づくりと設備配置の基礎づくりがこの作業となります。
木工事に必要な木材もこの内訳に含まれ、工事内容によってどんな材料がどのくらい必要なのかを大工さんが選定し用意します。
材料費、人工代、技術料などが含まれた見積もりになるので不透明感はありますが、ここをディスカウントしようとするとあまりいい結果を生まない気がしました。
あくまで人が技術をふるう工事ですので、気持ちいい環境で働いていただくほうが良いでしょう。
3.水まわりの工事
水道による安全な水の供給は、私たちの日常生活を支え、健康にも直結する重要なインフラです。
その水まわりの工事は「水道法」という法律の定めがあり、有資格者でなければ施工できない箇所があります。
- 配水管に直結した給水管
- 止水栓
- 逆止弁
- 水道メーター
- 給水栓
上記が前述した箇所であるように、DIYでやってもいい箇所というのは「給水装置の軽微な変更」つまり「単独水栓の取替え及び補修並びにこま、パッキン等給水装置の末端に設置される給水用具の部品の取替え(配管を伴わないものに限る。)」というように決められております。
【参照】:厚生労働省のホームページ
ですのでDIYする場合は自己責任であることもよくご理解いただいたうえで行いましょう。
4.電気工事
ほとんどの電気工事に関しては電気工事士の資格が必要なので素人はDIYはできません。
仮に、無理なDIYを行うと配線ミスによる漏電や感電、ショートによる発火に繋がる危険性があります。
場合によっては大きな事故に及ぶ可能性があるので、必ず専門業者にお願いしましょう。
自分でできるのはせいぜいコンセントやスイッチのカバーを変える程度です。
5.設備工事
システムキッチンやトイレやエアコンなど設置型家電を含む大型設備の設置工事となります。
水道工事も含まれているので、素人がすべてをDIYで施工することは不可能です。
また、エアコン設置は外壁に穴を空ける必要がある場合もあるので、規約も確認したうえで必要な準備を整える必要があります。
各装置の試運転や調整も含めてやってもらえる作業となります。
6.美装工事
工事中に発生した汚れやホコリの除去や磨き上げの作業を行うのが美装工事です。
プロの業者さんは特殊な薬剤を使用したり、専門的な知識や機材も持ち合わせているので、素人のお掃除とは比べ物にならない技術を持っています。
価格は部屋の広さや設備によって変動するようですが、我が家の場合はだいたい5万円ほどの見積りでした。
以上がリノベーションの大まかな項目になりますが、どのくらいご自分で出来そうなイメージが持てますか?
これらの工賃で我が家の場合はおおよそ300万円でした。(かなりの破格です)
もしもDIYしてみようと思った箇所があったら、ご自身の知識や技術や資格をもとに、あくまで自己責任で取り組んでみてください。
では我が家のリノベーションにおいて最終的な決断ですが、美装だけは自分でやってみようでした。
しかしそれだけで抑えられるコストはせいぜい5万円くらい。
リノベーションは諦めも肝心
どうやって予算内に収めたかと言いますと、フルリノベーション自体を諦めました。
他記事でも記載しましたが、トイレ本体は既存のものをそのまま、バスルームもそのまま、洗面所もそのままです。大型設備はキッチンのみ新調しました。
ユニットバスの交換費用相場は60~150万円。
トイレの交換費用相場は10~20万円。
洗面台の交換費用相場は10~20万円。
いずれも本体のグレードや施工会社の設置費用によって価格は変動しますが、この3つで80〜190万円抑えられます。これをよしとするかどうかは個人の采配によるところですが、私の場合はとりあえず我慢することにしました。
ちなみにシステムキッチンの交換費用相場は50〜200万円とかなりグレードによって開きがありますが、我が家のキッチンはLIXILのシエラSという商品で総額70万円くらいでした。
リノベーションのコストを抑えるポイント
ポイントはいくつかありますが基本的には自分の頭と体を動かすしかないというのが答えです。
- 見積りは必ず数社とる。
- 施主支給は可能な限り行う。
- DIY出来る箇所はやってみる。
見積りは必ず数社とる
見積りに関しては、必ず数社と比較するべきです。
もちろん金額だけで決めるという意味ではないのですが、家造りの分野において何にいくら位かかるのかという感覚を持ちあわせてらっしゃいますか?私はなかったです。
また、工事内容についても細分化していくとコストダウンに繋がる箇所があったりします。
我が家の例では床の補強、貼替えがそれにあたります。
スケルトンリノベーションといいますと、本来は全部解体するところを我が家は全床面積の1/3程度しか工事しませんでした。
残りの2/3は解体途中に元々フローリングであったことに気付き、和室のみの補強に留めることがコストダウンになりました。
2.施主支給は可能な限り行う
施主支給はしっかり対応しないと現場に迷惑がかかりますが、逆にそれさえクリアすると大きくコストを抑えることが出来ました。(施主支給が出来ない施工会社もありますので確認が必要です)
今は便利な世の中でインターネットを活用すると驚くほど簡単に相場観がわかったり、価格や性能の比較が出来たり、デザインを確認したりできます。
我が家の場合、ドアや埋込式ダウンライト本体やレールライトの一式、ハンガーをかけるポールやコンセント装置一式に至るまで、ほとんどの設備を自分で揃えました。フローリング材でさえ自分で探し回って発注しました。
しかしいくらネットで注文できるといっても多くの材料をすべてひとりで厳選し、発注し、受け取り搬入をするという作業はなかなかに大変です。特に床材はウッドショックの時でしたので、欠品や遅延が発生していたことから、決定は非常に苦労しました。
DIY出来る箇所はやってみる
そしてこの厳選したお気に入りアイテムたちの中で、自分で設置できそうな箇所をDIYしていくのもまた大変な作業ではありますが、出来上がっていく様を自分の手で実感できる体験は貴重なものではないでしょうか。
コストを抑えるポイントについてご理解いただきたいのは、物品の選定や発注、ちょっとした設備の設置にもそれぞれ値段があるということです。
床材ひとつ選ぶにもサンプルを取り寄せたり、カタログを用意したり、この家に施工可能かどうかの下調べもしたり…。とにかく値段が見えない大変な作業が多くあります。
これを自分がやりますよという話です。
担当者さんの手を煩わせる部分を自分が行うことで、その分コストダウンに繋がった実例でした。
まとめ
基礎工事に300万円
システムキッチンに70万円
その他設備に130万円
以上が我が家のリノベーションのおおよその内訳でした。
家造りを始めると「いちいち高い!」と思うこともしばしば。
しかしそれが現実であり、だからこそ皆さんも情報収集をして工夫を凝らすのだと思います。
500万円であろうと2000万円であろうと、きっとこの現実と理想の溝は多かれ少なかれあるのではないでしょうか。
でもこの壁を乗り越えた先には新居という新たな景色が迎えてくれるのもまた事実。
現実を理想に近づける努力をした人にはきっと貴重な経験という財産も残ります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。